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2015/06/18

異色の漫画家・山野一が育児エッセイマンガ『そせじ』で復活! &村西とおる監督との再会

 山野一という漫画家をご存知だろうか。デビューは1983年の『ガロ』で、世間一般では鬼畜系の漫画家と呼ばれている。

 確かに鬼畜系というか、主人公が工場労働者の低所得で下賎な性格であったり、新興宗教の教祖であったりと、人間の業(カルマ)を描いた作品群は圧倒的で、僕は大ファンだった。

ファンキーすぎる名作

 90年代後半には、パートナーねこぢる氏と発表した『ねこぢる』シリーズで脚光を浴びた。内容は可愛らしい絵柄の猫の姉弟が本音で毒づく漫画である。また『ぢるぢる旅行記』『ぢるぢる日記』では夫婦の斜に構えた日常を垣間みることもでき、愛読していた。

 そのねこぢるの死後、ねこぢるy名義で作品を発表しているのは知っていたが、山野一名義では漫画を描いていないものだと思い込んでいた。

僕が唯一似てる絵を描けるのはねこぢるだけ


 そんなとき、ふとKindleで見つけたのだ。『そせじ』山野一。底辺エッセイ漫画の作風で双生児(ふたご)の育児を描く。これがめっぽう面白い。

 長年のキャリアで培ったテンポ良いコマ運びと山野一独特のシニカルな社会情勢の見方は変わっていない。だが、そこにふたごという実在の爽やかな風が吹きこむ。ふたごの姉妹もピュア過ぎるがゆえに他人や親(山野一自身)を傷付けてしまいかねない存在であるのも、旧ねこぢるのにゃーこ&にゃっ太姉弟を思い出させる。
 
 例えば、毎日貧乏を強調している父に向かいふたごは「やすくてあまいパン買って」「やすくてかわいいくつした買って」となんでも安くをつけるようになった……。
 『ゲゲゲの鬼太郎』のDVDを現在放送しているようにふたごに見せつけていたら幼稚園で友達と話が合わなくなった……。
 などなどとんでもエピソードのてんこ盛りである。

 その中でも父(モデルは山野本人)の行動範囲が近所のスーパーしかないため、ふたごが幼稚園の同級生に「お前の父ちゃんは、『半額コーナーの地縛霊』だ」と呼ばれるシーンがある。

 そういえば僕自身もこの1年間、自宅でフリーライターとして活動し、近所のスーパーにしか出歩かない日が多い。僕もいつもいく西友のレジのおばちゃんに「半額魚男」とあだ名を付けられているのだろうか……。

 引きこもり歴30年・籠もりイクメンの山野一氏にはイチファンとして、このシリーズを続けていただきたいと思っている。

そせじ応援サイト
本人のインタビューもあり


定価も390円とお求めやすい


そせじ(1)
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(2014-07-21)


■お知らせ
 tocanaで村西とおる監督のイベント記事を書きました。

 村西監督に以前お会いしたのはアダルトエキスポ? もしくは関わっていた雑誌の年末特集だったか、6~7年前のことです。それとは別の機会に『極太の松本さま』と署名された本をお送りいただいたこともあります。覚えていらっしゃるかは不安でしたが、丁寧に取材にご対応していただきました。
 オチには佐川一政のオカルト話まで用意していただき、感謝です。

前科7犯、借金50億、7,000人の女の脚の付け根を見たAV界の帝王! 村西とおるがエロスを語り尽くす!!


2015/06/09

諸星大二郎『マッドメン』にヤラれまくりの日々

先日諸星大二郎先生がメインのムックの書評を書かせてもらった。

『tocana』
「秘境パプアニューギニアで仮面の原住民に出会う!! 新刊『諸星大二郎 マッドメンの世界』が豪華すぎるッ!!」
http://tocana.jp/2015/06/post_6534_entry.html



久々に素晴らしい本で、昔から諸星ファンと同時にx51.orgの佐藤健寿ファンの僕は書かせてもらえて本当に光栄だ。


同時に原画展も開催されているとのことで、会場に向かった。東京・中野ブロードウェイの4階『リトルハイ』という画廊だ。(残念ながら2015年6月8日まで)


会場内は撮影禁止のため外観




ムック『マッドメンの世界』のカラーイラスト、佐藤健寿の大判の写真、さらに『マッドメン』の原画も展示されており、小さい画廊ながらも迫力満点。

なぜこの時代に『マッドメン』という今更感はあるかもしれないが、諸星先生の永久不変の画業はもっともっと続いてほしい。

このムックの企画を通した河出書房の上層部と編集者の勇気にも拍手を送りたい。


なによりも『マッドメン』と『ムルムル』Tシャツが買えたのが嬉しい!!

左がマッドメン。右がムルムル。今年の夏はマッドメンが大活躍だ


■お仕事
『おいしいカレーの店 首都圏版』 (ぴあMOOK) スパイスのところ少しだけライティングしました。

おいしいカレーの店 首都圏版 (ぴあMOOK)

ぴあ (2015-06-04)
売り上げランキング: 5,425


『万年筆の図鑑』(マイナビ)
紙、インク、ショップなどを編集&ライターとして担当。

万年筆の図鑑
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マイナビ (2015-05-23)
売り上げランキング: 9,869


『RC WORLD』(ラジコンワールド・エイ出版) 
「フォルクスワーゲンフェスト」撮影&取材を担当。



『tocana』
「秘境パプアニューギニアで仮面の原住民に出会う!! 新刊『諸星大二郎 マッドメンの世界』が豪華すぎるッ!!」

2015/06/02

映画『百日紅 Miss HOKUSAI』という贅沢な時間

先週打ち合わせの間の時間にふらっと見てきた。

『百日紅 Miss HOKUSAI』は杉浦日向子原作の『百日紅』を『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲』で知られる原恵一が監督したアニメーション映画だ。

葛飾北斎とその娘を軸に物語は進む。ちょっとした心の機微を積み重ねる物語なので、全体のストーリーにダイナミックさは欠ける。一方で江戸の風景、庶民、そしてなによりも『北斎の絵』の見せ方にはうならせるものがあった。

「ものすごい! 絶対見なきゃ」という作品ではない。だが、今回の僕のように日常の隙間の時間に見ると、とても贅沢でいい時間の使い方ができたと満足できるものだった。