丘から見下ろしたクタイシの町。どの家も自家製ワインを作っている |
人間世界遺産!? そんなものがあるのかは知らないが、桂米朝師匠のような人間国宝がいるなら、この宿のホスト・スリコ(人名・男)&メディコ(人名・女)夫妻は“人間世界遺産”にふさわしい。
旅人たちを何十年も楽しませてきた酒宴の席の芸とおもてなしの心が、スリコとメディコ夫妻の宿を世界遺産と呼ばせるに至ったのだ。
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その前にグルジアとは、1991年にロシアから独立した国で、英語名はジョージア。ワイン発祥の地といわれている。
飲んべえな旅友達から「フリーワインの安宿がある」との情報を受け取り、酒に目のない僕たちはこの国を急遽予定に組み込んだのだった。
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トルコのトラブゾンを20時に出たバスは国境の手続きを終え、翌朝3時(グルジア時間5時)にクタイシに着いた。
グルジアのイミグレは横浜トリアンナーレのような中途半端な現代芸術風 |
本当になにもない道端で下ろされ途方に暮れる |
下ろされた場所が聞いていたマクドナルドとカジノがある場所ではなく。夜道のなにもないところであった。
ひと気もなにもない。とにかく光のある方に歩き出すと、暗闇から馬のいななきが聞こえる。馬が起きて、立ち上がってくる。まさか襲っては来ないだろうが、恐怖感はある。
馬を刺激しないよう、そっと歩いていると、コンビニのような商店が見えてきた。ここまで全く人がいないので、開いている商店の前で朝を待つことにする。
店の前に座っているとパンの配達のおじさんが商品のパンをくれた。この国の第一印象は最高!! |
1時間ほどたち夜も少し明けてきたころ、店の人にセントロ(真ん中)を聞いて歩き出す。15分ほど歩くとガソリンスタンドの向こうに銀行(ATM)があり、お金を下ろすことができた。
そこでタクシーを拾い、『メディコ&スリコの家』を告げる。迷いながらもタクシーは宿の前に着いた。
朝早いので申し訳なさげに、ドアの前に立つと、スリコおじさんが手招きをしてくれた。半地下のような部屋に通される。柿と緑の実をたくさんくれて、さらには角のコップにワインだ。これが“人間世界遺産”スリコ劇場の幕開けである。
いきなり自家製ワインの蔵に案内され、問答無用に飲まされる |
ほぼ徹夜だったので、昼過ぎまで眠り、起きると昼食が用意されていた。しかし、これが昼食兼夕食。昼の14時から夜中12時までの宴会となったのであった。
豪華な昼ご飯。メディコおばちゃんは一日中料理を作ってくれる |
楽しげに飲む嫁。もちろん置けないコップだが、幸せそう |
僕もサムライの絵が書いてある帽子をかぶらされ、床にある酒を口でつまんで一気飲みをさせられた |
乾杯をして、一杯飲むごとに抱き合う。スリコとの距離がどんどん近くなっていく |
酔っぱらうとスリコは妻のメディコにキスを求める。この夫婦仲も世界遺産だ |
結局2泊している間は飲み続けた。日本人4人と韓国人2人の酒が強いメンバーで良かった |
とはいえ、二日酔いの頭のまま、一応観光もした。クタイシの教会は美しい。
自然の中に現れる荘厳な教会 |
ヨーロッパとはひと味違う重い十字架が立っていた |
ここに来るまで、存在すら知らなかった国・グルジア。スリコ&メディコ夫妻のおかげで、僕のオススメの国ナンバーワンはグルジアになった。
■グルジア/クタイシ安宿(民家)情報
名前:スリコ&メディコの家
住所:民家なので控えます(写真にはありますが……)
・ダブルルーム・ホットシャワー、トイレ共同・wifiなし・キッチンどころかメディコが朝、夕作ってくれます。ワインは飲み放題
・予約なしの飛び込み。ひとり30ラリ(1800円)
・バスターミナルから徒歩30分ほど。真ん中の広場からは徒歩10分
・人間世界遺産になるぐらい二人は親切
・バスターミナルからセントロの広場を目指す。セントロの広場からトビリシ通りの81と83の間を目指す。そこを左折した右手6番のところ。セントロの手前からタクシーで7ラリ(420円)
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